社内の書類を外に出さずに AI で読む方法 ── パソコンの中で動く AI と、クラウドの AI の違い

2026年10月8日 ・ 宮崎 翼(株式会社AppTalentHub)

「議事録や見積書を AI に要約させたい。でも、会社の書類を外のサービスに送って大丈夫なのか」。中小企業で AI を使い始めるとき、いちばん多いご相談がこれです。

結論:書類を一切外に出したくないなら、パソコンの中で動く AI(ローカル AI)を使います。速さや賢さが必要で外に送ってもよい書類なら、送った内容を学習に使わない約束のクラウドの AIを、会社として契約して使います。大事なのは「どの書類を、どの AI に送ってよいか」を社内で決めておくことです。

心配なのは「学習」と「保管」

AI に書類を送るときに気にするべきことは、主に2つです。

  • 学習に使われるか:送った内容が、AI の改良に使われるかどうか。サービスや契約の種類によって違います。
  • どれだけの間、保管されるか:学習に使わない場合でも、不正利用の監視などのために一定期間保管されることがあります。

3つの選び方

書類が外に出るか費用速さ・賢さ
パソコンの中で動く AI
例:Ollama で動かす Gemma
出ない無料(パソコンの容量を使う)クラウドより遅く、難しい依頼は苦手
学習に使わない約束のクラウドの AI
例:Anthropic・OpenAI の API
出る(学習には使われない・一定期間保管)使った分だけ速く、賢い
無料のクラウドの AI出る(学習に使われることがある)無料速い

1. パソコンの中で動く AI(ローカル AI)

AI の本体をパソコンに入れて動かす方法です。代表的なのが無料の Ollama で、Google の Gemma などの AI を動かせます。書類はパソコンの外へ一切出ません。

  • 必要な容量の目安:Ollama のインストーラー 約1.6GB + AI の本体(Gemma 3 の 4B)約3.3GB、合わせて約5GB。
  • 速さの目安:私たちのパソコンで書類1つを要約させたところ、最初の1回は 27〜39 秒、2回目は 7 秒でした(パソコンの性能で大きく変わります)。
  • 向いている依頼:要約、期限や金額の拾い出し、フォルダの中身の説明など、短く決まった依頼。

2. 学習に使わない約束のクラウドの AI

会社として API(開発者向けの契約)を使う方法です。2026年10月時点の各社の規約では、次のとおりです。

  • Anthropic(Claude)の API:送った内容を学習に使わない(商用規約)。
  • OpenAI(ChatGPT)の API:本人が許可しない限り学習に使わない。不正利用の監視のため最長30日保管(OpenAI のデータの扱い)。
  • Google(Gemini)の API:無料枠では学習に使われ、人が読むこともあります。有料枠(請求先を設定した鍵)では使われません(Gemini API の料金表)。

※ 規約は変わることがあります。使う前に、必ず各社の最新の規約をご確認ください。

3. 無料のクラウドの AI に、会社の書類を貼らない

個人向けの無料サービスに書類をそのまま貼り付けると、設定によっては学習に使われます。社員がそれぞれ思い思いの AI を使い始める前に、「会社の書類はこの AI だけ」と決めておくのがいちばんの対策です。

社内ルールの例

  • 契約書・人事・お客様の個人情報 → パソコンの中の AI だけ
  • 社内の議事録・企画書 → 会社で契約した、学習に使わないクラウドの AI まで
  • 公開済みの資料 → どの AI でもよい

FolderOS(フォルダーOS)での使い方

FolderOS は、会社の共有フォルダをエクスプローラーと同じ手つきで見られる Windows 向けのソフトです。ファイルやフォルダを右クリックして「AI に頼む」から、AI に書類を読ませられます。

  • パソコンの中の AI がそのまま使える:Ollama が入っていなければ、入れ方を画面で案内します(入れるのはご自身です)。「要約する」「期限を拾う」「フォルダの説明を書く」は、パソコンの中の AI を選んでいれば外へ送りません。
  • どこで読んだかを毎回表示:答えには「この PC の中だけで読みました。書類は外に送っていません」のように、送ったかどうかが必ず1行出ます。
  • AI が読めるのは「会社フォルダ」に登録した場所だけ:デスクトップや個人のフォルダを、AI が勝手に読むことはありません。
  • 元の書類は書き換えない:答えは会社フォルダの中に1枚ずつ残るので、ほかの社員も同じ答えを読めます。
  • 数字はソフトが数える:ファイルの数や更新日時は FolderOS が数えた値を出し、AI に計算させません。

書類を外に出さずに、AI に要約させてみてください

FolderOS は Microsoft Store から無料で入手でき、ログインも要りません。パソコンの中の AI だけで使えます。

まとめ

  • 心配なのは、送った書類が「学習に使われるか」と「どれだけ保管されるか」。
  • 一切外に出したくないなら、パソコンの中で動く AI(Ollama など)。
  • クラウドを使うなら、学習に使わない約束の API を会社として契約し、無料サービスに書類を貼らないルールを決める。